曲の3要素
楽器を論じる前に、曲が成り立つために必要なものを考えましょう。
曲に不可欠な要素は、メロディー・コード・リズムの三つです。
作曲という作業を楽器でするのであれば、この三つすべてを行うことができればベストでしょう。
例えば、トランペットで作業すると、音は出ますが単音です。
一つの音しか鳴らすことができないので和音にならず、コードを鳴らすことは不可能です。
つまり、トランペットは、メロディーを作ることだけには適しているかもしれないが、コードとメロディーの関係を試すことはできない楽器といえるでしょう。
ギターかピアノが一般的
複数の異なる高さの音を出す楽器が、メロディーとコードを鳴らすことのできる楽器ですのでギターかピアノで作曲する人が多いのだと思います。
ギターは、いわゆるコードの押さえ方から覚え始めて、演奏方法を習得していく人が多い楽器です。
ただし、ギターは片手でコードを押さえるのが原則なので、手の大きさ・指の長さにより押さえることのできない音が生じる楽器です。
また、ギターでメロディーとコードを同時に鳴らすのは、演奏技術としては高度ですし、前記のように物理的に押さえることのできない場合もあるので、制約が大きい楽器です。
その点、ピアノは右手でメロディー、左手でコード、というように両手で役割を分担することができるので、ギターよりも自由度が高いです。
リズムはどうする?
今までメロディーとコードのことを述べてきましたが、リズムを奏でることを忘れているわけではありません。
三つをすべて鳴らす物は、電力を用いた楽器でないと存在しないのではと思います。
そのため、近ごろはプロ・アマを問わずパソコンで作曲する人が増えています。
パソコンでの作業は音楽制作ソフト(DAW)を用いるのですが、3要素を鳴らすための音源がDAWに用意されているので、楽器の演奏が苦手な人も、正確な音程・テンポで奏でることが可能なのです。
では、ギターやピアノはダメなのかといえば、私はそうは思いません。
リズムの基本を刻むことは、ギターやピアノでも可能ですし、メロディーを作る際にも作曲者は体(心)でリズムを刻んでいるはずです。
演奏面の軽減や作業効率で劣るかもしれませんが、曲自体がパソコンで作ったものに負ける、ということはないと思います。